空き家対策について

 私は建物解体の仕事をしてきたので、行政代執行による空き家の解体工事に関わる機会がありました。
仕事を通してとても身近に感じていたこと、北陸新幹線開業で京都のように民泊が来るらしいとか関心が高く、数年前から地道に調査していました。
空き家対策は先進地を見習うのが何より手っ取り早いと思います。
京都府行政書士会では空き家対策について基本書をまとめています。以下リンク

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※資料はダウンロードできます。2021年5月4日閲覧。

 空き家対策の解決方法は同じでも、地域による事情の違いが必ず生まれます。
そこで、専門家の養成や役割の定義、コーディネーターの育成が重要になってくるのです。

 あわら市は2021年3月、県で3例目となる県司法書士会との協定を結びました。
畑明日香「空き家対策事業で司法書士会と協定(あわら市)」『日刊県民福井』、2021年4月2日、朝刊、4面。の記事では、「市は協定に基づき、空き家対策に関する相続や所有者の相続人調査依頼など、同会と連携して空き家対策を勧めていく。」とある。
あわら市の空き家対策について考察すれば、対策の主体であるはずの地域の存在が抜けているように見える。
登記や相続など法的な要件を解決することや、建物を管理しまたは壊すことはあくまで手段の話であり、空き家対策の目的ではない。
京都の事例ではそれら専門家による解決が新たに問題を起こしたり、地域に遺恨を残したりしている。
空き家対策とは近所迷惑の解消が目的だから、地域のリーダーやコーディネーターが主体となって問題を分析して、個々の案件を専門家が解決するというプロセスが必要だ。

 地域が自力で問題を解決できるようにサポートするのが本当の意味での空き家対策なのである。
分析や進行を外注に頼るのではなく自主的に行えるよう、空き家対策コーディネーターや地域のリーダーの研修などで人材育成するべきだ。
これらは「まちづくり」という大きな目的の中の1つなのだから。

空き家対策その②

 建物解体の仕事を長く続けていますと、これはただ構造物を壊す仕事という単純なものではないということが分かりました。
管理の出来なくなった、いわゆる特定空き家は極論、解体後に土地を国に渡す他ないと思います。
現行の制度では、更地でなければそれが出来ません。
解体の仕事は基本的に、建築予定があるか、更地にしたい等の一連の事業があるのが前提です。
ですからそれによって不動産価値が上がって固定資産税や住民税の収入を増やす事ができ、そこからさらなる税収を獲得し、住みやすく魅力のある(まちづくり)をするというのが地方自治における政治の役割であります。
 私はあわらの議員やまちづくりと称した活動の数々はこれをよく理解せず反映していないのではと感じています。
私の暮らす古区は世帯や新築の家屋が目まぐるしく増えています。
ですが、市の人口減を考えると単純に他の地区からこっちに来ただけであって、過疎がより過疎になり、少子高齢化になり、空き家が増えているだけではないでしょうか。
越前市の一部地域では、元村10数軒だったところに今では200軒以上、外国人労働者が新築の家や土地を購入しているという現状もあり、生活習慣の違いと実利との間で価値観を揺さぶられる事態になっているという話もあります。
 今、私たちのあわら市でもこういった不動産に関わってくる諸問題が起き始めている、もしくは起きている真っ只中ではないでしょうか。
にぎわい作りだけが決してまちづくりではなくて、この不動産の利活用を突き詰めずしてあわら市の発展を見るのは、どうも理屈がおかしいのではないでしょうか。
 日本の国土は世界的に見てもとてつもない価値があるそうです。
ですから、長い目で見れば不動産に投資する事はいずれ自身の利益として返ってくるのです。
まずは、特定空き家になる前の早めの行動が大事です。
解体工事のプロと行政書士として、不動産価値の向上を目指したまちづくりにこれからも関わっていきたいと思います。